Project Story #3 海外支援室プロジェクト 活躍の場をASEANへ

プロジェクトの概要

マーケットの拡大、労働力の確保などを目的とした日本企業のアジア・ASEAN地域への進出が急増する中、中堅企業向けのクロスボーダーM&Aのコンサルティングファームはほぼ皆無だったことから、海外支援室を設立。AEC(ASEAN経済共同体)の発足を機に、ますます活発化が予想される日本企業によるクロスボーダーM&Aにおいて、デファクトスタンダードの確立を目指して活動中。

※各個人の役職は2015年当時になります

プロジェクトの成果

  • 2013年4月、海外支援室設立。当社実績として20件ほどのクロスボーダーM&Aを成約。
  • 2016年4月にはASEANビジネスのハブとなるシンガポールに事務所を設立。
  • クロスボーターM&Aのデファクトスタンダード確立に向け活動中。

中堅企業のクロスボーダーM&Aでデファクトスタンダードをつくる

安丸良広(海外支援室長) :私は以前、総合商社でインドネシアに6年ほど駐在していました。当社入社後も海外経験を生かした仕事ができないかと考えていたのですが、ちょうど2010年ごろから当社でもASEANを中心に海外案件が増えはじめたのです。「これだ」と思いました。私自身、日本国内のM&Aで実績を積んできた自負もありましたし、より難易度が高いクロスボーダーM&Aに知的好奇心をくすぐられたというか、挑戦したいなと。また、業界を見渡しても大企業相手のM&Aファームはあっても、中堅企業の海外進出を専門に扱うM&Aファームは日本にはありませんでした。いわば空白地帯です。「自分がイキイキと働ける場所を自分でつくりたい」「クロスボーダーM&Aのデファクトスタンダードをつくりたい」との思いから、2012年に海外支援プロジェクトを立ち上げました。最初の1年間はたった一人のプロジェクトでしたが、2013年4月からは海外支援室として活動しています。

渡邊大晃(海外支援室 副部長) :日本国内であらゆる業界の業界再編が進でいますが、再編が終息すると何が起こるか。次は「マーケットを海外へ広げよう」という流れになります。以前のアジアは、モノを安くつくるコストセンターとして考えられていましたが、今やモノを消費する重要なマーケットとして位置づけられています。日本企業の海外進出はますます活発になるでしょうし、「面白そうだな、挑戦したいな」と思いました。安丸は大阪勤務で、私は東京勤務。西日本と東日本に分かれて担当しています。

羽田寛芳(コーポレートアドバイザー室 上席課長) :私はコーポレートアドバイザー室所属で、通常は企業評価やスキーム構築など、公認会計士として営業社員のサポートをしています。昔はバックパッカーで海外旅行をしたり、もともと海外に興味がありました。以前大阪支社で安丸と一緒に仕事をしていたときに、海外M&Aがあれば「ぜひ一緒に取り組みたいね」という話をしていたのですが、ついにそれが叶うことになりました。

ネットワークを強みに難易度の高いクロスボーダーM&Aを成功へ導く

安丸 :当社がお手伝いしているクロスボーダーM&Aは、大きく2種類あります。一つは、日本企業の海外子会社を別の日本企業に譲渡するケース。もう一つは、日本企業が現地企業を買うケースです。前者は日本企業同士なので、国内のM&Aと比べても難易度はそれほど高くありませんが、後者ではM&Aの進め方が国内のそれとは大きく異なります。国によっては自国の産業を守るために外国企業が参入できる領域や方法が制限されていることもあります。また、国内のM&Aでは成約したあとで従業員に開示するのが一般的ですが、国によっては従業員の賛同が得られないと成約ができない国もあります。法制度や商習慣、交渉方法などの違いから、難易度が非常に高い業務になります。

渡邊 :海外の現地企業の中には、財務資料が整備されていないばかりか、帳簿が複数出てくるようなこともあります。企業評価を正しくできないと、価格も決まらず、買い手に話をしにいくこともできませんが、企業評価をする前に「これらの資料をもとに企業評価をして良いのか」というところから調査しなければならず作業量が多くなります。また、日本企業と比べてコンプライアンスやガバナンスが弱い企業が多く、M&A成約後に日本流のマネジメントをどう行えば良いのか、行える土壌があるのか、というフィージビリティ・スタディ(実現可能性)調査も必要です。ときには現地の労働法などの知識が必要になるケースもあります。さらに、交渉相手となる現地企業のオーナーは外国の方なので、持って生まれた文化が違います。交渉・折衝などにも非常に時間がかかります。

羽田 :私が担当した案件で企業評価のために現地を訪問した際、クーデターが起こって空港が閉鎖され帰国できなくなったことがありました。クロスボーダーM&Aでは、市場や景気の動向だけでなく、政治情勢にも影響を受けます。「ここだ!」というときのスピード感やタイミングより重要なのです。当社には現地に拠点のある会計事務所や現地の法律、商習慣に精通した弁護士、公認会計士のM&A情報ネットワークもあり、彼らのノウハウ、専門家ネットワークを活用することで、あらゆるケースを想定しながらディールが進められます。また、M&Aの検討段階で「この国で、この業種なら…」と事前に論点も洗い出すことができます。信頼できるネットワークを持っていることも海外支援室の強みですね。日本企業のクロスボーダーM&Aでは、国内と同レベルのサポート体制が整いつつあると思います。

日本のナンバーワンから、アジアのナンバーワンへ

安丸 :海外支援室をつくって約3年。文化も法律も商習慣も違う中でのM&Aは、難しさがある一方で日本流のM&A方法論が通用する部分も多くあることも分かりました。より多くの実績、ノウハウ、ネットワークをつくりながらアジア・ASEAN地域における当社のプレゼンスを向上させていきたいと考えています。そして国内に向けては、クロスボーダーM&Aを海外進出のデファクトスタンダード化していくことが今後の目標です。
現在当社は中堅・中小企業のM&Aで国内ナンバーワンですが、それをアジアでも実現したいです。

渡邊 :日本国内では、金融機関、会計事務所、士業事務所など全国を網羅する2,000以上のM&A情報ネットワークがありますが、海外のネットワークは開拓途中です。案件自体のやりがいもありますが、未開のネットワークを開拓するおもしろさ、新たな土壌でビジネスの仕組みをつくるおもしろさも感じています。今は日本からの出張ベースで業務をしていますが、将来的にはもっと部署の人数を増やし、現地で拠点を構えてより質の高いサービスを提供していきたいですね。

プロジェクトストーリー 一覧

写真左から 羽田寛芳 安丸良広 渡邊大晃